フィリピン国鉄に乗ってきました
4月半ばから5月はじめにかけてフィリピンに出張してきました。
出張中の休日を利用して今回は、フィリピンの鉄道に乗ってきました。
前回2011年も10月後半に同じフィリピンに出張したのですがそのときは
移動中の車の中からかろうじて写真を撮るということしか出来ず、
今回は出来れば是非乗ってみたいと機会をうかがっていました。
乗車したのはフィリピン国鉄(Philippines National Railway) が中心です。
よろしければ続きをどうぞ
人生初の海外鉄道乗車となるフィリピン国鉄。
フィリピン国鉄の公式HPをみたり、いろいろな方が体験記を書いて
いらっしゃるブログを読み、かつ日本を出発するときに
大阪・なんばの旭屋書店の鉄道書籍コーナーで下記の本を
見つけて読んでおきました。
下川裕治さん著「鈍行列車のアジア旅」
フィリピン国鉄の始発駅となるTutuban(トゥトゥバン)駅。
駅から少しはなれたところにはキアポ教会やチャイナタウンがあると
地球の歩き方では紹介されています。
しかしながら、特に夜間は治安の悪いところでもあるとも紹介されています。
そこへ行くまでの道のりは確かに大変なものでした。
事前に調べてきていた列車時刻ぎりぎりに駅に到着したので
初体験とはいえ、あわただしいものとなりました。
駅舎に入るにのゲートがあり、警備員が立っていて手荷物検査を受けます。
キップは、会議用机みたいなところに座っている方から購入します。
Tutuban(トゥトゥバン)駅からAlabang(アラバン)駅までフィリピン通貨で
20ペソです。
分かりにくいですが、写真では右手のほうです。
写真左手の立派なカウンターがあるところは1日1本運行される
夜行列車の受付カウンターのように見えました。
フィリピン国鉄の時刻表です。
こちらは1日1本の夜行列車 Bicol Trainの時刻表です。
こちらは近郊・通勤列車の時刻表です。
tutubanからAlabang駅までは概ね30分間隔で運転されています。
駅構内には創業時の再現客車か、復元したのかわかりませんが
客車が展示されています。
私にもっと海外の鉄道の知識があれば興味深い写真があったのかも
知れませんが、ちょっと勉強不足で分からない写真が多かったです。
フィリピン国鉄の歴代の列車写真が大きく飾られています。
この写真に見えている椅子などがあるところが、夜行列車の乗客専用の
待合室です。
こちらは駅の食堂というか売店です。
飲み物や食べ物が購入できます。テーブル席もあって食事もできます。
頭上の壁面にはフィリピン国鉄のマークが掲げられています。
他にもいろいろと写真パネルがありました。
駅ホームには列車の発車時刻が差し迫らないとゲートを空けて
入場できないようなシステムでした。
列車を待つ利用客の皆さんです。
改札が始まり、皆さん列車に乗り込んでいきます。
日中のtutuban-Alabang駅との間を運転している近郊列車は
韓国製の気動車3両編成が主力となっています。
駅構内には私にとっては見るべきところがたくさんありました。
JR東日本から譲渡された203系電車です。
こちらは12系客車と14系寝台車が見えてきました。
地球の歩き方で紹介されているフィリピン国鉄の列車はこの
朽ち果ててしまっている12系客車です。
このときは、まだ走っているのかどうか分かりませんでした。
一方、14系寝台車。こちらはBicol Expressとして新たな使命を受けて
活躍を始めています。
日本時代の表記がそのまま残っています。
ドアが開いているのか、壊れてしまっているのかは分からないですが
ドアが開いていました。
この14系寝台車Bicol Expressを撮っていると駅ホームの先端から
車両整備工場が見えて、そこにもっと見たい撮りたい車両があったので
カメラをもって、ホーム先端まで行こうとしたら、警備員さんに止められて
しまい、「写真撮るには許可がいる」と注意されてしまったので
この日は諦めて列車に乗り込むこととしました。
先頭車に乗って前面風景を見ようと思ったら、進行方向向かって
1号車は女性専用車となるので、また「違うよ」と教えてもらう
ことになって、やむえず2両目に乗り込むことにしました。
乗ろうとしたら記念撮影している方がいらっしゃいました。
乗り込むと普通のロングシートの通勤型の室内。
椅子はプラスチック製の硬い椅子でした。
車端部で開いている席があったのでそこで腰掛けて
列車が発車するのを待っていました。
初乗車の感想といえば、tutuban駅を出発するときはほぼ座席が
埋まるほどの乗車率、駅が進むに連れて混雑し、窓の景色も
見れたものでもなく、ギュウギュウ詰めとなって、あまり印象もなく
終点のAlabang駅に着いてしまったというのが正直なところです。
一週間の後、今回の出張中で2回目の休日。
今度はAlabang駅から乗っていくことしにしました。
フィリピン国鉄の駅では途中で高架鉄道(LRT/MRT)と呼ばれる
民間の鉄道も走っていて、乗換駅になっていそうだと地図上では
見受けられたので、2回目の乗車は、フィリピン国鉄の列車を
途中の駅で降りる。途中駅から乗るということにチャレンジして、
LRTなどの路線を少し乗ってみようと計画していました。
フィリピン国鉄のAlabang(アラバン)駅。
冒頭でご紹介した書籍「鈍行列車のアジア旅」を読むと、
旧駅と新駅の2つあるということが記載されていました。
1回目の乗車ではまったくそのことさえも確認する余裕もなかったので
2回目の乗車で確認することにしました。
滞在先のホテル近くの書店で購入した道路地図によると、鉄道駅の変更は
反映されていませんでした。この記事を書くためにグーグルマップを見ると
きちんと対応しています。
フィリピン国鉄のHPより列車の時刻表を手帳に書き写してきて、
AM9:20ごろにはAlabang駅に到着しました。
列車はAM9:35、それに乗り遅れたとしてもAM10:05があるのでそれほど
心配していなかったのですが、駅に着いてちょっと困ったことになりました。
マニラ側の始発駅tutuban駅では切符を売っているところがすぐに分かった
ですが、Alabang駅では雑然としていて、どこがキップ売り場なのか分かりません。
しかも、見たところたくさんのお客さんがすでに列を成して待ったいらっしゃったので
もう、AM9:35発の列車のキップは販売がおわってしまったのかとも思いました。
片言の英語ですが、駅のホームの警備員に「次の列車は?」と聴いてみると
「AM11:00」という答えがあり、「キップは?」と聴くと窓口がしまっている小屋を
指差されて、そこで会話が終わってしまいました。
二言三言、何かを教えてくれたのですが、私の語学力が足りず分かりません。
駅の近くに大きめなショッピングモールがあり、その中にファストフード店が
ありましたので、一旦そこに入り、時間をつぶしながら、思案していました。
持ってきていた会話集を取り出して、必要な言葉を手帳に書き写すことに
しました。この本がなければ2回目のフィリピン国鉄の乗車もなく、駅で
とどまることしか出来なかったかもしれません。
JTB刊ひとり歩きの会話集「フィリピン語」 この本さまさまです。
会話の例題として、下記の文章が英語とタカログ語で書いてあります。
「MRTのキップはどこで買えますか」
「Where can I get an MRT ticket?」
「Saan ako makakabili ng ticket ng MRT?」
このタカログ文を書き写してMRTをフィリピン国鉄の略称PNRとしておきます。
再びAlabang駅に戻って、列車を待っていそうな方に声をかけて
みて、発音は分からないもので、書いた手帳を読んでもらうことにしたら
「あぁ、」というような表情で丁寧に教えていただけました。
「Closed」「waiting」このたった2つの単語ですが、とても安心しました。
さらに、尋ねた方が、「あなた、どこまでいくのか?」とたずねていらしたので
途中の駅で降りるつもりが、駅名が覚えていなかったので唯一覚えていた
駅tutubanを告げると、「これとおなじ紙幣をもっているか」と20ペソ紙幣を
見せてくれて、私も準備していたので、そのお札を出すと、ずっと窓口で
キップを買うまでついてくれて、私が切符を買うのを見届けてくれました。
そんないきさつがあって、2回目もまずはtutuban駅まで乗ることにしました。
キップの発売が開始されて、購入するとすぐに改札が始まりホームで
列車を待つことにしました。しかし、AM9:35,AM10:05、AM10:35の3列車が
運休しているためにホーム上は大混雑でした。
気になっていたホーム先端より。フィリピン国鉄の路線はAlabang駅よりも
ずっと先まで続いています。しかし、路線強化や整備事業が終わっているのが
Alabang駅までのようで、それから先は本当に先行きが不安になるような
線路状態でした。
新しいバラストが用意されていましたが、線路際に住んでいる
子供の格好の遊び場となっていました。
AM11:00と告げられていた列車もそれよりもだいぶ遅れていましたが、
もうここまできたら遅れ時分など気にならないものです。
遠くから警笛が聞こえてきました。ホームにいたお客さんがいっせいに
身を乗り出しようにして列車の姿を見ようとしています。
到着してもなかなかドアが開きません。
遅れてきた列車。降りる人も大勢いて、なかなかの光景でした。
写真を撮っていて目が合ったフィリピンの方も苦笑いするぐらいの
有様です。
そんな状態でもまだ列車に乗り込もうとせずに写真を撮っていたりすると
乗務員らしき人(制服などないので車掌さんとは気がつかなった)に
「tutubanまでいくのか?」とたずねられたので、「はい」と答えると
「おぉ、そうか」と満足そうにうなずかれてしまいました。
フィリピン国鉄の商売敵、ジプニーと一緒に列車を写します。
まだ、列車に乗らずにこの1枚をとってようやく乗り込みます。
今回は車窓を見ようとあらかじめ立つつもりでいたので、座れなくても
良いと思って乗り込みましたが、このときにすでに数本の列車が運休
している、その後の再開初列車であることをわすれていました。
止まる駅ごとにたくさんのお客さんが乗ってこられて、つり革を確保する
のも難しく、つり革がついている棒を握って何とか体制を整えるという
具合の混雑。数駅先からは、もう積み残しが発生していました。
途中行き違い列車の遅れなどもあって通常なら1時間ほどで
つくところ、どれだけかかったのかも分かりません。
お客さんが降りていくところで、せめてもと、気になっていた車両
製造銘板を確認して、撮影します。
到着したtutuban駅。乗車しようと待っているお客さんが大変多いのに
びっくりしたのと同時に、前回の乗車で時間通りに走ったのが奇跡だったのか
とも思えてきました。
Alabang駅で待っていると、「日本人か」と聴いてくる方いらして、話すと
その方はタンカーに乗って日本に来たことがあるということを教えてくれました。
少しばかり日本語を話されていました。
気になっていた12系客車。
これは、朝の始発と夜の最終列車に1往復のみにしか使われない
列車だということをAlabang駅で話しかけてくれた方が教えてくれました。
tutuban駅。入り口と出口が別々なっていました。
その前にある柱に掲示されている時刻表を皆さん確認されて
いらっしゃいました。
駅を出ると親切な方は、「サヨナラ トモダチ」といってくださって分かれました。
本当はtutuban駅ひとつ手前のBlumentritt駅で乗り換える予定でした。
が、話の流れてtutuban駅まできていまい、実は乗り換えるLRTの駅まで
歩こうかと思いましたが、街の雰囲気を見て、これは歩けるところではないなと
おもってすぐにtutuban駅に戻ってきました。
駅前広場に展示されている蒸気機関車2台です。
今度は、tutuban駅から一駅のBlumentritt駅まで乗車して、
その後LRTに乗り換えました。
駅は見えているものの、LRTは高架鉄道。駅へ向かうための階段が
見つかりません。あちらこちら探してようやく見つけて駅改札へ向かうと
そこでもガードマンによる手荷物検査と、「どこまでいくのか?」という質問が
投げかけられました。とっさに地図を広げて、「この駅や」と指し示すと、
「こちらは反対方向へ向かう列車のホームでであるから、反対側へいきなさい」
といわれて門前払い。せっかく見つけた階段を下りて、また階段を探して
ようやくLRTのホームへ入ることができました。
事前に調べていたところによるとLRTは理由は定かではありませんが
撮影には厳しいというか撮影厳禁と考えていたほうがよさそうであるという
情報を得ていましたので、もうカメラを出さずに列車を待ちました。
ここまで来ると、往路のフィリピン国鉄列車の遅れになどの疲れが
たまってきたので、もう今回はLRTはわずか3駅ほど乗ったところで
諦めて、元の駅へ戻ってきました。
LRTの駅から見たフィリピン国鉄の駅です。
この駅の時刻表は黒板に書かれているものでした。
幸い、帰りの列車は時間どおりに駅に到着して乗り込めましたが、
途中駅でサービス電源に不調をきたし、冷房が止まったり、ついには
乗務員が制御バネルをあけて修繕を試みるといった有様でした。
フィリピン国鉄2回目にして、いろいろなことがありましたが、
良い経験となりました。
フィリピン国鉄の日本型車両については鉄道ピクトリアル2012年3月号
に詳しく紹介されています。
次は今回あまり乗車機会のなかったLRT/MRTを乗る機会に恵まれたらと
思っています。
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コメント
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ありがとうございます
たいへん参考になりました。
明日 初めて PNRに乗ろうかと画策しているので たいへん有り難かったです。
ちょっと涙も滲みました。
フィリピンの人は本当に優しい人が多いけれど、日本人にとっての緊張感は半端ないですよね。
投稿: 中森 | 2016/01/29 20:29
中森様 コメントありがとうございます。
海外の鉄道に乗る機会に恵まれると、いかに日本の鉄道が
安心して気軽に乗れるのかと身にしみます。
いろいろと楽しい発見もあるかと思います。
どうぞお気をつけて旅をお楽しみください。
投稿: たけひろ | 2016/01/31 15:33