萬塾 第2回 旧逢坂山トンネル探訪 参加してきました
大津の町家を考える会が主催される萬塾。
第2回が2015年7月24日に開催されました。
テーマが旧逢坂山トンネル探訪。
日本の鉄道史に、日本人だけによって掘削された
初の山岳トンネルとして名を残す逢坂山トンネル。
いつの日かトンネル内部に入ってみたいと思っていましたが
やっと中に入る事が出来ました。
萬塾、いろいろなテーマで開催されていますが
第2回は旧逢坂山トンネル探訪。ちらほらと、案内を見かけてから
しばらくしてから申し込みの電話をかけると、満員御礼でキャンセル待ち。
もっと早く申し込めばよかったと落胆していると、キャンセルが出たとの
連絡を受けて、運よく参加できることなりました。
当日は、懐中電灯必須と書いてあったのに、実は持っていくのを
忘れました。
さて、当日。集合は所は京阪京津線の上栄町駅。
受付が、浜大津方面行きの改札か京都方面行きの改札か
はて?と迷うこともありましたが、皆さんが集まりだしたので
無事に受付を済ませて待つことに。
この日頂いた資料です。
旧逢坂山トンネル。京都大学が地震研究に使っているとは
知っていましたが、正式な名称はこのとき初めて知りました。
京都大学 防災研究所 附属地震予知研究センター 逢坂山観測所
という名称です。
京都大学防災研究所の公式サイトは
こちらへ
参加される方は26名だったそうで、全員が集まったところで出発。
国道161号線沿いに歩いていきます。
途中で皆さんの足が止まった、JR東海道線蝉丸跨線橋という京阪電鉄側の
施設名と、JR側は上関寺トンネルという名称を持つ煉瓦造りの構造物
(JRの列車内より)
上関寺国道の踏切を渡っていよいよ、逢坂山トンネルへ。
ここが鉄道記念物でもある逢坂山トンネル東口、
京都大学 防災研究所の逢坂山観測所への入り口です。
京都大学の先生によってこの観測所で行っている研究を
分かりやすく説明していただきました。
逢坂山観測所は北陸から九州にかけていくつかあるうちの
ひとつということでした。
観測しているのは地表の水平方向の変動と垂直方向の変動
計測システムを含めて初めて知ることばかりです。
ごく微小な変位量を測定するのに、計る物差しが伸び縮みしては
何を計っているのやらということになるので、一定の温度に保つことで
基準となる物差しを、温度変化による誤差を影響をなくしているそうです。
そのために活用されているこの逢坂山トンネル。
トンネル内部は外気の影響がほとんどなく、年間通して
14.6度をほぼキープしていて、変動もプラスマイナス0.01℃~0.02℃。
これはどんな空調システムを持ってしても実現できないそうで
自然の力はすごいと感じさせました。
説明を頂いた後、トンネル内部へ。
さすがに計測器があるところまでは立ち入れないので
入り口から少し入るところでした。
入るときには自筆でサイン。
入った時刻と出た時刻と共に。
扉を閉めるときに取り残されていないかどうかと、
入っていないのに出てきたといったことも防ぐために・・・。
説明が始まる前に、入口の扉のところに机を準備されていました。
皆さんがいっせいに入口へ。
待つ時間さえも天井を見上げて、明治の頃の蒸気機関車が
奮闘してその軌跡を残した天井に残る煤。
大阪の交通科学博物館で保存展示されていて
次に出来る京都鉄道博物館にも移設される蒸気機関車。
40という車号がついていますが、1800型1801号機。
この機関車が明治13年にこの逢坂山トンネルが開通したときに
初の勾配用機関車として製造されたもので、天井の残る煤に
この機関車からの煙もあったのかなと思いをはせていました。
長年思い続けていた旧逢坂山トンネル。
一歩はいった中はこんな感じでした。
懐中電灯を忘れたので、後はカメラのストロボを頼りに、
暗い中、しっかりをめに焼き付けて先へ進みます。
ところどころ設けられている蛍光灯です。
つい先日の大雨をもたらした台風11号の影響か、
もともと逢坂山トンネルには湧き水が出てるいうこともあるのですが
煉瓦が積み上げられた壁面を水が滴り落ちていました。
立ち入れる限界との所まで到着しました。
ここでもしばらく質疑応答の時間がありまして、
いろいろと説明をしていただきました。
旧逢坂山トンネル。
戦時中は軍事工場となっていた事が知られていますが、
旋盤などの工作機械が使っていた取付金具の一部が、今なお
トンネル内部に残っていました。
その金具です。
トンネル天井。
金具が右、左に取り付けられて、木を渡して梁のようにして、旋盤機械を
動かしていたそうです。
トンネル内部。もうひとつ壁がありました。
この先に測定機器があるようです。が立ち入れるのはこの
手前まで。それでも十分でした。
測定機器からの計測データはトンネル内部から光ファイバーによって
常時、宇治にある防災研究所センターへ送りどけられているそうです。
トンネル内部にいくつかのケーブルが敷設されていました。
トンネルについて知りたいこともありましたが、ここは防災研究所
でもあるので、なかなか質問も出来ず。
退出する時間が迫ってきました。
明治期に積み上げられた煉瓦。
トンネルの壁面には等間隔で、待避所が設けられている
ようでした。
綺麗に赤茶色が保たれているのと、何かで覆い尽くされている
ところがある、この違いはなんなのか?とか、
質問の本質ではないようでしたので聞けずじまい。
未練がましく、最後までトンネル内部を見つめていました。
トンネルを出るときが来てしまいました。
トンネル内部。外気からの影響なく室温が一定に保たれていて
14.6℃ですが、この日、外気温は33度ぐらいであったのですが
全く持ってそんなことを感じさせることない、環境でした。
実のところ、その冷気を感じることはなく、トンネル内部の観察に
夢中になっていたためか、その温度差を実感したのは
トンネルの外に出てからです。
掛けている眼鏡が曇る、カメラのレンズが曇る、
ファインダーを覗いたときに全体が灰色で何が起こったのか?
と思うぐらいでした。
トンネルの外に出てからも少しばかり質疑応答の時間が
ありました。が、電車の音に気になってしまいました。
質問の中にトンネルそのものの耐震は?という事があって、
旧逢坂山トンネル。実は阪神淡路大震災のときに石垣に
隙間ができていたそうです。
この鉄道記念物になっている旧逢坂山トンネル東口。
今の所有はJR西日本だそうで、京都大学が借用して観測につかっている
との事でした。
最後にパネルを撮らせていただきました。
東日本大震災との時も地震波をこの地点で観測していて、
繰り返し7度も地球を周回して、振動が観測されたとか、
水平方向ではちょっと詳しい桁数を聞き漏らしたのですが、
微小ではあるものの、逢坂山観測所での地面は伸びたままに
なっているといったお話しをしていただいたき、興味津々でした。
入り口の少しが見学できるようになっているトンネル(旧下り線)対して
ふさがれている(上り線)方については、新しい観測システムを
開発したときにテスト用として使っているそうです。
ちょっと違う季節に撮った写真ではありますが・・・。
質問したい事柄にこのお地蔵さんかな?石仏像が気になって
いたのですが、いつからあるのかなと思っていましたが
その疑問は胸に秘めておくことにします。
質問時間も終わって
現地解散になり萬塾第2回は終了しました。
今回の探訪で実は入ること出来るのかなと早とちりしていた
のですが、旧逢坂山トンネルの西口は名神高速道路で
取り壊されている事が知られていますが、トンネル内部はどうなっている
のかという点でした。これはどうやっても無理であることが
観測システムの説明で分かって、かえって諦めがつきました。
西口があったであろう、上には日本道路公団によって
石碑が作られています。
明治13年の京都~大津間の鉄道開業。
明治22年の東海道線全通をへて、大正10年8月まで列車が通っていた
逢坂山トンネル。このトンネルがあるので、今のJR琵琶湖線大津~山科間の
トンネルは「新逢坂山トンネル」という名前になっています。
詳しくは
2010年の年始、たまたま知った古い地図をもって集中的に調べた
事があって、旧逢坂山トンネルもブログで書いていました。
こちらの記事を参照いだければ幸いです。
逢坂山トンネルを出たところにあった、国鉄の大谷駅。
図面が滋賀県庁の県政資料室に残されています。
その図面があるのを知ったのは平成26年度に行われていた企画展でした。
この図面集には、機関車の石炭や水を補給する重大な役目を持っていた
膳所駅裏手にあった機関庫の図面も残されています。
話しがそれかかりましたが、
小学生のころからその存在を知って、何とかして中を見ること
出来ないかと思ってから何十年もたちましたが、思いかけない形で
立ち入る事が出来て本当にうれしいかぎりでした。
この回を開いてくださってありがとうございました。
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